インターネットは利便性も高く、マーケティング活動でも広く活用されています。
しかし、ネット上で誹謗中傷を受けたり、風評被害に遭ったりするケースも少なくありません。
誹謗中傷や風評被害は企業にとっても大きなダメージとなることから、対策が必要です。
様々な対策がある中で、逆SEO対策を講じる場合もあります。
そんな逆SEO対策でAIを活用することは可能なのでしょうか?
今回は、AIを活用した逆SEO対策と、実際に活用した場合に検索エンジンからどのような評価がされるのか、また生成AIを活用した場合の注意点をご紹介します。
逆SEO対策とは?
そもそも逆SEO対策とは、検索エンジンの検索結果に表示されている特定のサイトの順位を押し下げるための施策を指します。
一般的なSEO対策は自社サイトやWebページの順位を押し上げるための施策なので、その逆を目指すことから「逆SEO対策」や「リバースSEO」などと呼ばれています。
逆SEO対策の必要性
検索エンジンは現在多くの企業・個人が活用しており、そこで得た情報は検索したユーザーの印象にも影響を与えています。
これは商品やサービス、ブランドに対して良いイメージを与えられれば、消費者の購買行動を促せるためメリットになると言えますが、逆に検索エンジンで表示された結果にネガティブな情報や間違った情報が掲載されていれば、逆に顧客や取引先との信頼関係を構築するのも難しくなってしまう可能性があるのです。
こうした理由から、ネガティブな情報や間違った情報の露出を極力抑えるためにも、逆SEO対策は必要となります。
逆SEO対策で行ってはいけないこと
逆SEO対策にも様々な手法がありますが、その中には施策によって逆効果をもたらす可能性が高いものもあります。
例えばコピーサイトの作成や不正な被リンクの設置などです。
コピーサイトは、Googleが示すガイドラインにおいて重複サイトの作成を禁止していることから、検索順位が下がってしまう要因にもなります。
また、自社サイトに不正な被リンクを設置すると、Googleからスパムサイトとして認識されてしまい、検索順位が下がってしまいます。
コピーサイトを大量に作り、大量の被リンクを貼って評価を下げる方法もありますが、この手法もGoogleのガイドラインで禁止されているので注意が必要です。
AI技術による逆SEO戦略の可能性
逆SEO対策は企業にとって重要な施策の1つであり、事業にも大きな影響を与えてきます。
そんな逆SEO対策はAI技術を活用することで、効率的に施策を実行することも可能です。
例えば、以下のような活用方法があります。
ポジティブなコンテンツの作成
逆SEO対策では自社やブランド、商品・サービスに対するポジティブなコンテンツを作成する方法があります。
検索エンジンはユーザーにとって価値のある情報を優先して表示する傾向があるため、継続的に質の高いコンテンツを投稿していれば、ネガティブサイトの順位を押し下げることも可能です。
これまでは人の手でコンテンツを作成してきましたが、近年は生成AIの登場によりコンテンツ作成にかかる手間が大幅に削減されています。
キーワード戦略
逆SEO対策を実行する際には、キーワード戦略も重要となってきます。
例えば課題となっているネガティブサイトが主にどんなキーワードで検索されているのかを把握し、そのキーワードをコンテンツに取り入れることでネガティブサイトの押し下げにつながる可能性が高いです。
生成AIを活用すると、関連するキーワードの検索からそのキーワードの検索意図、キーワード戦略の調査などが可能です。
さらに、特定したキーワードからトピックを作成し、そのままコンテンツ作成に活用することもできます。
SNSの運用
検索エンジンではSNSで投稿した内容も上位表示されることが増えているため、良質な情報をSNSから投稿していくことで逆SEO対策も可能です。
そんなSNSの運用にも生成AIが役立ちます。
例えばSNSに投稿する文章や画像、動画などのコンテンツを、短時間で大量に作成することができます。
また、SNSを利用するユーザーのデータを分析し、そのユーザーが興味を引くようなコンテンツを生成することも可能です。
生成AIを活用したコンテンツ作成に対する検索エンジンからの評価
生成AIを活用することでコンテンツ作成の手間を大きく削減できますが、その一方で「生成AIで制作したコンテンツを、検索エンジンは本当に評価してくれるのか?」という不安を持つ方もいるでしょう。
Googleでは「AI生成コンテンツに関するGoogle検索のガイダンス」を公開しており、その中で「制作方法を問わず高品質のコンテンツを評価」と記載されています。
Googleで順位が決まる要素にE-E-A-T(専門性・エクスペリエンス・権威性・信頼性)がありますが、これらを満たしていてなおかつ高品質なオリジナルのコンテンツを評価するとしています。
つまり、コンテンツ自体生成AIで制作したとしても、高品質でユーザーに対して有益な情報であれば、評価されて検索順位を上げられるのです。
ただし、「検索ランキングの操作を目的としたコンテンツ生成」は、スパムに関するポリシー違反に該当するとしています。
実際、生成AIで作成した記事をそのまま大量に投稿したサイトに対して、アクセスが下げられている事例も出ています。
そのため、生成AIを活用してコンテンツ作成をすること自体は問題ないものの、大量に生成したコンテンツをそのままサイトに投稿するのは止めた方が良いでしょう。
検索エンジン自体もAIによって変化している
これから逆SEO対策を始める上で、知っておいてほしいのは「検索エンジン自体の変化」です。
Googleでは、2023年頃から検索結果に生成AIによる概要文が表示されるようになりました。
これまでGoogleでキーワードを入力するとWebサイトへのリンクが表示されていましたが、生成AIによる概要文はさらに上位に表示されており、さらに知りたい情報が概要文から把握できるので、Webサイトを見なくても分かるような状態になっています。
生成AIによる概要文がすべて正しいかと言われればそうではありませんが、検索順位の1位を獲得したとしても目立たなくなっているのも事実です。
このことから、以前に比べてSEO対策の効果が薄くなったとも言えるでしょう。
逆SEO対策に関しても、生成AIの概要文があることでネガティブサイトの影響力は弱まった可能性が高いです。
しかし、だからといって放置していてずっと上位ページにいると、ネガティブなイメージを持ってしまう人が増えるかもしれません。
今後もGoogleをはじめ検索エンジンではAIを取り入れた機能などが備わる可能性もあることから、逆SEO対策を行う際は柔軟に対応していくことが重要です。
逆SEO対策で生成AIを活用する際の注意点
逆SEO対策で生成AIを活用する際には、いくつか気を付けなくてはならないポイントもあります。
誤った情報が生成されてしまう
生成AIはネット上にあるデータを学習した上で文章などを生成していることから、学習した元のデータが間違っていればそのまま誤った情報が生成されてしまう場合もあります。
例えば入力した内容に対して統計データを出力する際に、事実とは異なる統計データが出力されることもあるでしょう。
こうした統計データを確認しないままコンテンツとして投稿してしまうと、企業としての信頼が大きく損なわれてしまう可能性があります。
そのため、生成AIを活用すること自体は良いのですが、誤った情報ではないか必ず確認することが大切です。
個人情報や機密情報が流出する可能性がある
生成AIの活用時にはセキュリティ面にも注意を払うことが重要です。
生成AIに入力した情報はすべて学習データとして利用されたり、一定期間情報が保存されたりする場合があります。
そのため、個人情報や企業の機密情報などを入力してしまうと、第三者の出力結果に表示されてしまったり、サイバー攻撃を受けて情報が抜き取られたりするケースもあるのです。
実際に海外の大手企業では従業員が社内も機密コードを入力した結果、情報が流出した事例もあります。
近年は入力データを学習させない設定にできるツールも増えていますが、すべてのデータが対応しているわけではないので注意が必要です。
出力結果にバイアスがかかってしまう
これまでに蓄積された学習データに基づいて新しいコンテンツを作成する生成AIですが、その学習データに偏りが出てしまうと、出力結果にもその影響が出る場合もあります。
実際に性別による偏見が反映されてしまったケースもいくつか報告されています。
出力結果にバイアスがかからないようにすることは難しいものの、人の目で見直しを図ることが重要です。
意図せず著作権・肖像権などを侵害してしまう
生成AIの学習データの中には、著作物や人物の画像などのコンテンツも含まれています。
その結果、意図していなくても著作権・肖像権を侵害しているケースが見られる場合もあります。
意図していなかったとしても、企業に対して著作権・肖像権の侵害によって訴えられてしまう可能性も考えられるでしょう。
そのため、生成AIで制作したコンテンツを商用利用する際には十分に注意してください。
今回は、AIを活用した逆SEO対策と、実際に活用した場合に検索エンジンからどのような評価がされるのか、また生成AIを活用した場合の注意点などをご紹介してきました。
生成AIを活用した逆SEO対策については、Googleのガイドライン上だと正しく使用すれば問題ないとしています。
ネガティブサイトよりも評価の高いコンテンツを作成することが重要となってくるため、生成AIを活用しつつもオリジナリティや質の高い文章にしていく必要があります。
また、上記でもご紹介したように生成AIを活用する際には個人情報や機密情報を入力しないことや、著作権などの権利侵害に気を付けることなどの注意点を押さえることも重要です。
これから逆SEO対策を始めようと考えている方は、気を付けつつも便利な生成AIを活用してみましょう。