海外での事業展開を検討している企業は、風評被害についても理解し、対策を事前に検討することが重要です。
予防策や対策を検討しないまま海外進出してしまえば、後悔を招く危険性があります。
海外展開企業向けの風評被害対策における最善のやり方となるベストプラクティスは、「事前対策」と「事後対策」の両方を確立することでリスクを防ぐことができます。
そこで今回は、リスクに備えるための事前対策と有事発生時の対策方法について詳しく解説していきます。
風評被害対策サービスについても解説するので、海外展開を考えている企業や風評被害対策について検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

リスクに備えるためのベストプラクティス

まずは、風評被害のリスクに備えるためのベストプラクティスをご紹介していきます。
万が一、風評被害へと発展してしまえば海外展開の継続が難しくなるだけではなく、事業継続さえ危ぶまれるリスクがあります。
後悔を招かないためにも、事前対策をしっかりと考え実行していきましょう。

リスクアセスメント

まずは、展開先の国の政治や宗教、文化や商習慣について深く理解することが大切です。
海外では、国や地域ごとにタブーがあり、例えば日本では問題ないことでも海外では批判される可能性があるため注意しなければいけません。
例えば、インドネシアやタイでは、頭をなでる行為は侮辱とされ、一部のヨーロッパや中東では親指を立てるジェスチャーが不適切な意味を持つため、万が一ポスターやSNSでそれらの画像を発信してしまえば炎上する可能性が高いです。
文化や習慣などはしっかりと理解して表現には注意することでリスクを減らすことができます。
また、言語の違いによる誤解にも注意してください。
例えば、「最善を尽くします」という言葉は、日本では「努力します」や「一生懸命やります」といったように解釈されます。
しかし、英語では「I will try my best.」となり、受け取る側としては「成功するかわからないの?」「責任を持たない言い訳?」などと感じてしまいます。
文化や価値観の違いによって受け取り方にも違いがあるので注意してください。

モニタリング体制の構築

炎上する可能性のある投稿を迅速に見つけるため、現地での評判をリアルタイムで把握するためにも、ソーシャルリスニング体制を構築しましょう。
ソーシャルリスニング体制とは、SNSやブログ、レビューサイトといったネット上で自社に関連するユーザーの声を収集して分析し、マーケティングや顧客対応に活用する仕組みを指します。
ネガティブな意見や炎上リスクとなる発言の早期発見に役立ち、監視することでリスクを防ぐことにもつながります。
しかし、自分たちの力だけで監視することは難しいため、AIやデータ分析を使って自動で収集・分析を行えるソーシャルリスニングツールを活用して監視していくことで負担を抑えられます。

情報発信チャネル・手順の確立

情報の発信源や対象の読者、使用する媒体についても、あらかじめ計画しておきましょう。
情報を発信するのは本社なのか、それとも現地法人なのか、そしてSNSの種類や現地メディアなど、細かく決めておくことでリスクに備えられます。
また、誤情報やデマが流れた際に、それを正す正確な情報を発信できるよう準備することも大切です。
どういった形で正確な情報を発信するのか、あらかじめ検討しておきましょう。

体制の明確化

あらかじめ、本社と海外拠点の間でリスク対策の体制や責任範囲を明確にすることも重要です。
海外で風評被害に発展するような出来事が発生した際、体制を整えていないと手順を間違えたり、時間がかかったりなど、さらなる問題を生む可能性があるため注意が必要です。
トラブルが発生した際の労務交渉や対外的な発表については、本社側が一任するなど、現場が混乱しないような体制を事前に整えておきましょう。

SNSを投稿するタイミング

SNSでの情報発信時には、不適切なタイミングでの投稿は避けるべきです。
追悼日や災害が発生した日などを考えずに、通常のプロモーション投稿をすれば、不謹慎と感じ取られる可能性があります。
そのため、現地のカレンダーは必ずチェックし、投稿スケジュールを前もって調整することも大切です。
現地の感情や文化に配慮して投稿すれば、誤解や反感を避けて適切なコミュニケーションを取れるようになります。

ネイティブ人材によるチェック体制

展開先の国にとって、どんな内容が不快になるのかは、いくら注意を払って発信しても、現地の文化や言語に精通していないと気が付きにくいものです。
そのため、コンテンツの公開前にネイティブ人材によるチェックを行えるよう体制を整えることも検討してみてください。
日本では問題にならないような表現でも、海外ではタブーとされる危険性があり、不快感や誤解を生んでしまいます。
SNSの場合、絵文字1つで炎上するリスクもあるため、細やかな配慮が必要です。
リスクを防ぐためだけではなく、文化的背景や言語のニュアンスを正確に反映したコンテンツを制作するためにも、ネイティブ人材とパートナーシップを組むことは大きなメリットです。

発生時のベストプラクティス

ここからは、炎上騒ぎやトラブルが発生した際のベストプラクティスを解説していきます。
初動対応が適切に行われないと被害が大きくなるため、迅速な対応が重要です。

状況把握・情報収集

風評被害が発生した際には、まず事実確認をすることが不可欠です。
問題となっている投稿や情報が事実に基づいているものなのか、それとも誤解やデマに基づくものなのかを慎重に見極めていきましょう。
もし、事実確認を行わないまま否定し、その後情報が事実だとわかれば、企業に対する批判はさらに大きくなってしまいます。
被害を拡大させるリスクを生むだけなので、必ず状況把握を行うことが大切です。

情報発信

事実確認が完了したら、可能な限り迅速に公式見解を発表しましょう。
沈黙を続ければ「問題を隠蔽している」と捉えられる可能性があります。
声明文を発表する場合は、以下の内容を記すようにしてください。

・事実確認を実施したこと
・判明した内容
・今後の対応方針

声明文に関しては、自社のホームページや公式SNS、店頭での掲示や地域メディアへのプレスリリースなど、様々なアプローチ法があります。
風評被害の場合、同じプラットフォームで発信をすれば、誤解をしている人たちに直接情報を届けられます。
また、感情的な表現や攻撃的な文章は避けるようにし、冷静な説明を心掛けてください。
企業側に改善すべき点があれば素直に認め、具体的な改善策を示せば誠実な姿勢として評価される可能性もあります。
海外の場合、日本のメディアとは報道の姿勢が異なるので、海外メディアの関心に応えられるように詳細な情報提供を検討してください。

書き込みの削除依頼

虚偽の情報や名誉棄損に該当する投稿があれば、各プラットフォームの運営者に対して削除依頼を行ってください。
口コミサイトやSNSでは、誹謗中傷や虚偽情報に対する報告機能が設置されています。
このシステムを活用すれば、削除要請が行えます。
利用規約違反となる具体的な根拠を明示して、事実確認で得た証拠資料を添付し依頼をしましょう。
ただし、必ずしも削除されるとは限りません。
また、検索エンジンに対するネガティブ情報の非表示の要請も同時に検討しましょう。
検索結果からの除外は一定の条件下で行えるため、依頼をすれば風評被害を抑えるために役立ちます。

再発防止策の実施・信頼回復

炎上が収束した後には原因を分析して再発防止に向けた対策を講じる必要があります。
SNS運用やガイドラインの見直し、従業員に対する教育や研修の強化など、同じ過ちによって再び炎上を招かないためにも、しっかりと体制を整えてください。
また、信頼回復には時間がかかります。
継続的に情報発信をするほか、ポジティブな情報の発信やユーザーとの積極的なコミュニケーションをして、信頼回復に努めてください。

風評被害対策サービスの活用も検討する

風評被害対策のベストプラクティスを実施するためにも、風評被害対策サービスの活用も検討しましょう。
サービスの内容や活用するメリットなどを解説していきます。

風評被害対策サービスとは

ネット上やSNSで拡散した悪質な情報や口コミなどを監視・分析して、必要に応じて削除依頼や正しい情報の拡散などを支援する専門サービスを風評被害対策サービスと言います。
サービス内容は業者によって異なります。
適切なサービスを利用することで迅速な対応ができ、企業イメージの回復やブランド価値の維持に貢献できるでしょう。
例えば、以下のようなサービスが考えられます。

・SNSや掲示板、口コミサイトなどの監視や分析
・誹謗中傷や虚偽情報に対する削除依頼のサポート
・社内向けSNSリテラシー研修といった再発防止のための組織内対策の提供
・弁護士と連携した発信者情報の開示請求や損害賠償の請求
・危機管理アドバイスやトレーニングの提供などの事前対策
・ポジティブな情報発信や検索エンジン最適化

自社に合うサービスを提供する業者を選んで活用してみましょう。

活用するメリット

風評被害対策では、多岐に渡る専門知識が必要です。
サービスを活用すれば、豊富な経験やノウハウに基づき、削除の交渉や法的措置、SEO対策など、状況に応じた最適な対策を行えます。
自社に知識を持つ人材がいなければ対処をするにしても時間がかかってしまいます。
その結果、風評被害がさらに広がる可能性もあるため、風評被害対策サービスを活用した方が迅速に対応できるはずです。
モニタリング体制を設けているサービス業者であれば、沈静化した風評被害の再発を防ぐことにも役立ちます。
社内リソースの負担を軽減するため、企業のブランドイメージや信頼回復を早期に行うためにも、サービス業者の活用を検討してみてください。

風評被害対策では事前の体制構築と事後の対策の両方が重要です。
事前の対策では、日本とは異なる文化や政治的背景などを深く理解することが不可欠となります。
万が一トラブルが発生した際には、迅速な初動対応が被害の最小化に直結するため、事前に対策を練り検討しておくことが大切です。
今回ご紹介したベストプラクティスを通じて被害を最小限に抑えるよう努力していきましょう。