インターネットやSNSの普及に伴い、企業・個人に関する情報は瞬時に拡散される時代になりました。
それがメリットになることもありますが、場合によっては事実と異なる口コミや誹謗中傷、不正確な情報まで拡散されてしまい、風評被害を招いてしまう恐れもあります。
風評被害によって企業に売上減少などの実害が発生した場合、法的措置を取ることはできるのでしょうか?
そこで当記事では、風評被害で法的対応が取れるケースや法的対応の主な内容、風評被害対策を進める際の注意点などを紹介します。
風評被害で法的対応が取れるケース
風評被害はすべて法的対応の対象になるわけではありません。
しかし、企業や個人の権利が侵害されていたり、実際に損害を被っていたりする場合は、様々な法的措置を検討できる可能性があります。
ここで、どのようなケースで法的対応を取れるのか解説していきます。
SNSや口コミサイトで事実と異なる情報が拡散された場合
SNSや口コミサイトに投稿された内容が事実と異なっており、その情報が拡散されてしまった際には法的対応を検討してみましょう。
例えば、実際に起きていないのに「不祥事を起こしている」「不正を働いている」など、あからさまでも虚偽情報が広まってしまうと、そこから企業の信用やブランドイメージに大きな悪影響を与える可能性があります。
特にSNSは拡散力が高く、一度広まった情報を完全に回収することは容易ではありません。
実害につながる可能性が高いことから、損害賠償請求などの法的対応が取れるでしょう。
誹謗中傷や名誉毀損に該当する投稿がある場合
単なる意見や感想の範囲を超え、企業や個人の社会的評価を低下させるような投稿は、名誉毀損や誹謗中傷に該当する可能性があります。
例えば、「犯罪行為をしている」「詐欺会社だ」などの根拠のない断定的な表現や、人格を否定するような攻撃的な投稿が継続して行われているケースです。
このような投稿は、企業の信用を損なうだけでなく、従業員や経営者にも精神的な負担を与えてしまいかねません。
名誉毀損・信用毀損が認められる場合、投稿の削除申請や発信者の情報開示請求、損害賠償請求などの法的措置を取れる可能性があります。
企業の信用や売上に実害が発生している場合
風評被害によって実際に売上の減少や取引停止、採用活動への悪影響などが発生している際にも、法的対応を検討することができます。
例えば、根拠のない口コミが拡散した結果、問い合わせ件数が減少したり、取引先との契約を打ち切られたりするケースもあるでしょう。
また、採用活動で応募者数の減少や内定辞退率が増えてしまい、追加の人材を採用するために再度採用活動を実施しなくてはなりません。
そうなると採用コストも増え、資金繰りが悪化することも考えられます。
こうした実害が発生している場合には、損害賠償請求ができる場合もあります。
損害賠償請求を実施する際は、重要な根拠として売上データや問い合わせ件数の推移、取引先とのやり取りなどを記録・保存することが大切です。
風評被害に対して法的対応ができる主な内容
風評被害が発生した場合、状況に応じて様々な法的措置を取ることは可能です。
ただし、投稿内容や被害状況によって選択できる手段が異なります。
ここで、風評被害に対する主な法的対応について解説します。
投稿・口コミの削除申請
風評被害対策として最初に検討されることが多いのが、問題のある投稿・口コミの削除申請です。
SNSや口コミサイト、掲示板などにはそれぞれ利用規約や投稿ガイドラインが設けられており、虚偽情報や誹謗中傷、権利侵害などに該当している場合には削除が認められる傾向にあります。
そのため、まずはサイトの運営者に問い合わせ、削除申請を行いましょう。
ガイドラインに反した投稿であるにも関わらず、運営元が削除に応じなかった場合は、裁判所の手続きを通じて削除を求めることも可能です。
発信者の情報開示請求
匿名で投稿された誹謗中傷や虚偽情報に関して、投稿者本人を特定したい場合には発信者情報開示請求を行います。
発信者情報開示請求は、インターネットやSNSなどで誹謗中傷や虚偽情報を発信した人物を特定するために、SNS事業者や掲示板運営者、サイト運営者などに対して投稿者のIPアドレスや契約者情報などの開示を求める手続きです。
投稿者の情報を特定することで、削除申請だけでなく損害賠償請求や刑事告訴などの対応にも進めるようになります。
ただし、開示請求が認められるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 権利侵害が明確にある
- 侵害が具体的で証拠がある
- 発信者情報開示の必要性がある
- 開示請求が公益に反していない
損害賠償請求
風評被害によって実際に損害が発生した場合には、投稿者に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
例えば、虚偽の情報が拡散された結果、売上が減少した場合や取引先との契約が打ち切られた場合、採用活動に支障が出た場合などが該当します。
また、企業の信用やブランドの価値が毀損されたことによる損害も、請求の対象になる可能性があります。
ただし、損害賠償を認めてもらうためには、違法な投稿と損害の因果関係を照明しなくてはなりません。
そのため、売上の推移や問い合わせ件数、契約状況などの資料を日頃から保存しておくようにしましょう。
刑事告訴・刑事責任の追及
投稿内容が悪質な場合には、民事の状の責任だけでなく刑事責任を追及できる場合もあります。
例えば、名誉棄損罪や侮辱罪、信用棄損罪、業務妨害罪などに該当する可能性があるケースです。
特に、虚偽情報を意図的に流布して企業活動に大きな損害を与えた場合には、刑事事件として扱われることがあります。
刑事告訴が受理されると、警察や検察による捜査が行われ、投稿者は処罰される可能性があります。
ただし、刑事手続は被害者の意思だけで進められるものではなく、違法性や悪質性が認められなくてはなりません。
法的な風評被害対策を進める際の注意点・ポイント
風評被害に対して法的措置を検討する場合、単に削除申請や損害賠償請求を行えばいいというわけではありません。
対応を誤ってしまうと、被害がさらに拡大したり、法的手続きが不利になったりする可能性があります。
適切に問題を解決するためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
感情的な対応や反論は逆効果になる可能性がある
風評被害を受けると、事実と異なる内容や誹謗中傷に対して強い怒り・不満を感じるかもしれません。
感情的になってしまうのは自然なことですが、その感情をSNSや問題の投稿者にぶつけてしまうと、かえってトラブルが拡大する恐れがあります。
特にSNSでは企業側の反応が新たな話題を呼び、問題の投稿がさらに拡散されるケースも少なくありません。
また、不適切な反論によって企業イメージが悪化するリスクもあります。
まずは状況を整理し、投稿内容が違法性を持つのか、どのような対応が適切なのかを客観的に判断することが重要です。
感情ではなく事実と証拠に基づき、冷静に対応を進めていきましょう。
証拠を保存しておく
法的対応を行っていく上で欠かせないのが、証拠の保存です。
問題の投稿はすぐに削除されてしまう可能性があるため、発見した段階でスクリーンショットを取得し、投稿日時やURL、投稿者名などを記録しておきましょう。
動画や画像が掲載されている場合、それらも保存してください。
また、風評被害による損害を立証するために、売上の減少データや問い合わせ件数の変化、取引先とのやり取りがわかるデータなども併せて保管することが望ましいです。
証拠が不足していると、削除申請や発信者情報開示請求、損害賠償請求が認められにくくなるため、注意してください。
弁護士・専門業者と連携を取る
風評被害への法的対応は専門的な知識が必要になるため、弁護士と連携を取りながら進めることが重要です。
発信者情報開示請求や損害賠償請求などは法的な手続きが必要となるため、専門家からサポートを受けた方がスムーズに対応できます。
また、法的措置だけでは検索結果やSNS上の評価を改善できない場合もあるでしょう。
その場合は風評被害対策の専門業者と連携を取り、情報発信やモニタリング、レピュテーション管理なども含めた総合的な対策を検討することが大切です。
風評被害の拡大を防ぎ、企業の信用を守るためにも、弁護士や風評被害対策の専門業者に早い段階から相談しておきましょう。
風評被害は企業にとって深刻な問題に発展する可能性が非常に高いです。
投稿内容や被害状況によっても異なりますが、法的対応が必要なケースもあります。
ただし、自社だけで進めようとすると、リソースを割かれるだけでなく専門的な知識が必要となるため、スムーズな対応が難しくなってしまいます。
風評被害対策で法的対応を行いたい場合は弁護士に相談し、法的対応だけで改善できない場合は、風評被害対策の専門業者に相談するのがおすすめです。

















