ビジネスにおいて、目標達成のために欠かせないプロセスが正常かどうかを評価する定量指標を「KPI」といいます。
英語で「Key Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インジケーター)」ですが、日本語では「重要業績評価指標」と訳され、目標を達成するための中間指標となるものです。
ここでは、KPIが何かに加えて重要性や考え方などについても解説します。
KPIとは?
上記でも少し紹介したように、「KPI」は「重要業績評価指数」です。
例えば、顧客獲得数や営業利益など最終的な目標を達成するうえで管理すべき中間目標となります。
KPIを管理することで、達成すべき最終目標を「KGI(重要目標達成指標)」といい、ネガティブな内容や情報、誹謗中傷などから企業を守るための対策効果を測定するための具体的な数値目標となるのです。
炎上などが起こらないように防ぎ、いかに正常な状態を保てるかを判断するために設定されます。
KPIを図るために使いわけたいKRI
中間指標となるKPIの他に、別の指標となるものとして知っておきたいのが「KRI」です。
「Key Risk Indicator」の略で、リスクをいち早く察知して被害発生やこれに伴う影響を可能な限り抑えることを目標としたモニタリング指標です。
KPIは目標達成までの中間指標ですが、KRIはリスクなど危険の予兆を察する指標ということです。
これらをレピュテーションの領域で比較してみましょう。
KPIは、SNSやメディアにおいてのポジティブ言及率、社員のエンゲージメントスコア、顧客が自社を推奨してくれるスコアなどに分類できます。
KRIは、社内にあるホットラインへの相談や通報件数、SNSでのネガティブな内容、言及に関する件数の増加率、取引先から受けたクレーム件数の増加率、退職者へのアンケートでのネガティブな回答率となります。
このように、KPIは自社ブランドを健全に保つための指数、KRIは今後の動向を把握するための指数となり、お互いに欠かせない存在になっているのです。
KPI設定が必要な理由とは
目標達成に向けて必要なプロセスのための評価となるKPIは、設定する必要性の高いものです。
なかには、そんなに重要なものと捉えていないケースもありますが、実はKPIの持つ「定量指標」というものが大切です。
ここでは、KPI設定の必要性について解説します。
課題を把握して改善を目指せる
KPIは、数値で表せる定量指数として設定します。
KPIで目標値を決めることで達成率を確認することができ、関連する業務が効率的に動いているかどうかを判断できます。
数値化しているので、誰もが一目で理解できる仕組みになります。
また、KPIの数値が目標に達していないことが業務の滞りを知る証拠になるので、日々の業務改善や振り返りにも活かせるだけでなく、課題を見つけて改善のきっかけにもなるでしょう。
業務の目標や必要な活動が理解しやすい
企業や組織に属している場合、社員それぞれが自分の価値観を持っているだけでなく、スキルや得意分野に関しても独自の物を持っています。
もし、ここで大幅な売上アップをすると目標を立てたとしても、社員全員の能力やスキルが同じではないので取り組み方や活動においてバラバラになる可能性も考えられます。
このような場合にKPIを取り入れると、最終的な目標指数を達成するために必要なものが把握できるだけでなく、何が達成できて何が達成できていないかも把握しやすいです。
営業職を例とした場合、「受注単価」「商談数」「成約率」などの分類ができますが、この中で成約率だけが未達成だとしましょう。
それがわかるなら、社員全員で成約率を達成するための活動に集中できるだけでなく、成約率を高めるための方法も考えられるということです。
成果に対して公平な判断や評価ができる
KPIは企業活動だけでなく、人事の評価などにも用いることができます。
社員に各自目標となるKPIの設定を行わせて、目標値を決めることで達成か未達成かを判断できます。
一定の目標値にすれば、全員に公平な評価を行えるだけでなく、お互いの関係性なども含まれません。
一定の評価基準として設けることで、透明性があって全員が納得できる公平な判断が可能です。
KPIを設定するには?
KPIを設定するには、以下の手順で行っていきましょう。
KGIの設定
最初にKGIの設定を行います。
KGIは、上記でも簡単に説明したように重要目標達成指標となるので、企業などが最終的に達成したい目標などを定量的に示すものです。
例えば、「顧客満足度95%以上」「売上目標前年比+10%」「年間売上5億円」などがKGIになります。
企業としての最終的な目標達成の数値なので、明確にしなければ全てが曖昧になってしまうのです。
この点に注意してKGIの設定が必要になってきます。
KGI達成のためにKPIの細分化
次に、KGI達成のためにKPIを細分化して考えていきます。
KPIは中間的なプロセスであり、KGIを達成するための道筋を分解して数値として決めていきます。
達成までの進捗状況をチェックする部分なので、1週間や1ヶ月などの単位で管理するようにしましょう。
KPIツリーは、KGIとKPIの関係性を樹形図にしたものです。
この作成によってKPIの重要度や階層などの構造が把握しやすくなります。
万が一のための対策についても検討する
KPIの数値を目標として掲げたものの、必ず順番通りに達成していくとは限りません。
もちろん、本来であれば順番に達成することが望ましいのですが、実際には様々な要因が関係して進捗率の悪化を招くことも起こりうる問題です。
このような問題が起こった場合、その場で対策を考えると時間やコストがかかってしまい、最終的にKGI達成が困難になる可能性も考えられます。
このような事態に陥る前に、万が一のことを考えて対策を検討するようにしましょう。
KPIが悪化した際には「対策を講じるタイミング」「対策の程度」「対策の内容」の3つについて検討します。
具体的なタイミングとしては「○○が起こってから」などではなく、きちんとした期間として考えます。
3週間後、1ヶ月後などに設定する必要があります。
対策の程度は、KPIが想定よりどれくらい少ない時など、誰もが対策が必要とわかる数字で表し、さらに対策の内容として何が必要になるかも検討しましょう。
KPI設定に欠かせない「SMARTの法則」
KPI設定の際には「SMARTの法則」を活用しましょう。
- Specific(具体的)
- Measurable(計測可能)
- Achievable(達成可能)
- Relevant(関連性)
- Time-bound(期限設定)
の5つの頭文字が「SMART」なので、このような呼び方になっています。
Specific(具体的)
KPIは、何よりわかりやすく設定することが求められます。
できるだけ、具体的にしなければ達成率の低下を招く恐れがあるからです。
抽象的だったり複雑すぎたりするKPIでは、それぞれの認識違いが生まれやすくなるため、誰もが理解できるわかりやすくシンプルで明確なKPIの設定を意識してください。
Measurable(計測可能)
KPIでは、数値にできるものを設定します。
指標が測定できるものでなければ、実現に向けた進捗率の把握ができなくなります。
KPIでは達成率を計算したり、実現に向けた取り組みを行ったりなど、進捗状況が定量的に評価できるものでなくてはなりません。
データや数値として表せない指標はKPIに設定できないことを知っておきましょう。
Achievable(達成可能)
KPIは、達成可能なものを設定する必要があります。
あまりに現実から離れたKPIを設定すると、社員やチーム全体のモチベーションが低下するだけでなく、意欲を失う可能性が高いです。
例えば、KPIを前年比の+50倍にしたら達成できるでしょうか?
目標が高いことは悪くないのですが、あまりに現実からかけ離れた目標によってどんな活動でこの結果が実現できるかも想像しにくくなります。
具体的な業務に結びつかないので、できるだけ現実的な数値を用いるのが最適です。
ただし、簡単に達成しやすい目標もKPIには向かないので注意してください。
Relevant(関連性)
KPIの採用する指標は、必ずKGIに関係するものにしなくてはなりません。
KGIの売上目標値が前年比120%とした場合、KPIに何が入るかを考えてみましょう。
ここでKPIに残業時間を入れたとすれば、確かに定量指標には含まれるものの、売上に直接関係する数値ではありません。
どちらかといえば、成約率や商談数など指標が適しています。
必ず関連性のある内容に統一する必要があります。
Time-bound(期限設定)
KPI設定では、明確な期限の設定も必要です。
いつまでに明確にするかを決めることで、実施しなければならない活動が見えてくるだけでなく、業務改善にも関係してきます。
期限を設定しなければ、目標をいつまでに達成すべきかもわからなくなるので、メリハリのある業務のためには期限がポイントです。
KPIの設定で失敗しがちなのは?
KPIを設定する際によくある失敗がいくつかあります。
例えば、KPIの数を増やしすぎたことで個人のリソースが分散されてしまい、達成までに多くの時間がかかるケースもあるので、3~5個程度が理想となることを覚えておきましょう。
また、KPIを設定する際に、数値にこだわったことで本当の目的を見失うケースもあります。
他にも社員に対して数値達成について追及しすぎると組織としての方向性がブレるケースもあります。
KPIの数値はあくまでKGI達成のための中間目標であることを忘れないようにしましょう。
KPIの設定によって各部門の間で摩擦が起こる可能性もあり、これらを回避するには部門間でのコミュニケーション強化や共有などが求められます。
数値にこだわりすぎて独走しないように、連携を図るように意識してみましょう。
レピュテーション対策にも求められるKPIは、何よりもわかりやすさを重視して考えることが大切です。
指標として誰がみても理解できるものを意識しなければ、KPIが持つ意味がわからなくなってしまうでしょう。
日常的な業務で改善できない場合もKPIの設定が無意味になってしまうので、関係するすべての人が理解して取り組めることを意識すると良いでしょう。






















