ネット上では突然誹謗中傷を受けたり、風評被害に遭ったりする可能性があります。
このケースは同じ日本人によるものが多いですが、場合によっては海外にいる外国人から受けてしまうこともあるでしょう。
もし海外から風評被害を受けた場合、企業はどのように対応していけば良いのでしょうか?
そこで今回は、海外からの風評被害によって与えられる企業のリスクや、風評被害対策につながる多言語対応の必要性などを解説します。
インバウンド効果によって多くの外国人が日本に訪れている今だからこそ、対策しておきたい方はぜひ参考にしてください。
海外からの風評被害とは?
風評被害は国内だけでなく、海外から受けてしまうこともあります。
具体的にどのような風評被害があるのか、解説していきましょう。
国境を越えて拡散する情報の特徴
インターネットやSNSが発達した現代では、国境を越えて情報が瞬時に拡散されるようになりました。世界中どこにいても海外の情報を受け取れるという利便性がある一方で、真偽が不明な状態で世界の情報が拡散されてしまい、風評被害を受けてしまう可能性もあります。
例えば、福島第一原子力発電所の処理水放出をめぐり、日本政府や国際機関から科学的安全性が説明されているにも関わらず、海外では「放射能に汚染された水が海に流される」と表現され、風評被害を受けてしまいました。特に中国や韓国などの近隣諸国では、食品の輸入規制や観光業にも影響がみられ、風評被害によって経済や国際関係にも大きな影響をもたらしたといっても過言ではありません。
こうした国境を越えて拡散する情報には、いくつか特徴がみられます。
・感情的・センセーショナルな表現がされている
・一次情報より翻訳・引用情報が伝わってしまう
・地域ごとの文化的背景や歴史が影響してしまう
国境を超えるほどの情報拡散はスピードが早いだけでなく制御するのも難しいため、企業はいち早く正確な情報を多言語で発信していくことが重要です。
SNS・口コミサイトによる影響力
SNSや口コミサイトの影響力は年々拡大していると言えます。
その理由として、消費者の購買プロセスが変化している点が挙げられます。
これまで消費者は注意(Attention)→関心(Interest)→欲求(Desire)→記憶(Memory)→行動(Action)という流れで、商品・サービスを購入するのが一般的でした。
この購買モデルを、頭文字を取ってAIDMAと表現されています。
しかし、インターネットやSNSの普及に伴い、AISCEASやSIPSなどの新たな購買プロセスが登場しています。
【AISCEAS】
注意(Attention)→関心(Interest)→検索(Search)→比較(Comparison)→検討(Examination)→行動(Action)→共有(Share)
【SIPS】
共感する(Sympathize)→確認する(Identify)→参加する(Participate)→共有・拡散する(Share&Spread)
このように、購買プロセスの中にネットやSNSが組み込まれるようになったことから、その影響力は非常に大きいものと言えます。
そのため、ネットやSNSで根拠のない噂や事実とは異なる内容が拡散されてしまうと、企業は深刻なダメージを負ってしまう可能性が高いです。
海外からの風評被害が企業に与えるリスク
海外からの風評被害によって、様々なリスクが発生してしまいます。
ここで、企業に与える具体的なリスクを解説していきましょう。
ブランド価値の低下
企業の中には海外に向けてブランドを発信しているケースも少なくありません。
特に「日本産」は外国人にとって品質の高さをイメージする人も多く、ブランド価値は国内よりも高くなることも考えられます。
しかし、海外で風評被害を受けてしまった場合、せっかくのブランド価値も低下してしまう可能性が高いです。
たとえ科学的根拠や事実に基づいた情報を提示したとしても、消費者の不安が強まってしまえば、他の商品と比べた際に選ばれにくくなってしまいます。
ブランド価値は一度低下してしまうと、回復するまでに多大な時間とコストがかかってしまうため、できるだけ価値が下がらないよう早期の対応が必要です。
現地での売上・集客への影響
海外からの風評被害は、基本的に外国語が使用されているため、現地で広く拡散されてしまいます。
その影響から、現地での売上が大幅に落ちてしまったり、実店舗を営業している場合は客足が途絶えたりすることも考えられるでしょう。
「根も葉もない噂なら、商品や接客の良さを知っている常連客には無効だろう」と考える人もいるかもしれませんが、悪い噂を耳にした常連客は「店が変わったのかもしれない」と感じ、離れてしまう可能性が高いです。
特に食品・観光業界など、消費者の心理に直結する分野は、売上や集客への打撃が顕著です。
取引先やパートナーとの関係悪化
風評被害によって悪い噂が流れてしまうと、取引先やパートナーとの関係悪化につながる場合もあります。
例えば自社の商品を輸入して、海外の取引先に卸している場合、取引の縮小だけでなく契約自体がなくなる恐れもあります。
海外との取引件数が多い企業は、特に大きな影響を受けてしまうでしょう。
また、風評被害によって信用が低下すると、金融機関や投資家にも情報が伝わってしまい、資金調達が難しくなったり、株価が下落したりすることも考えられます。
風評被害対策における多言語対応の必要性
海外からの風評被害に備えるためにも、対策を講じる上で多言語対応も必要となってきます。
ここでは、風評被害対策における多言語対応の必要性について解説します。
正確な情報発信で誤解を防ぐ
風評被害のほとんどは十分でない情報が広まってしまうことや、誤訳による影響で起きてしまいます。
例えば、日本語で安全性を説明していても、海外メディアやSNSでは一部だけを切り取られてしまったり、誇張された表現で伝わったりする可能性も少なくありません。
そのため、万が一海外で風評被害に遭っている場合は、正確な情報を発信して誤解を防ぐ必要があります。
ただし、情報を発信する前に事実確認を行うことが重要です。
悪い噂が広まるのを少しでも防ぐために素早く発信しようとして事実確認を怠ってしまう場合もありますが、後から嘘ではなく真実だと発覚した際に、より大きなバッシングを受けてしまう可能性があります。
まずはその情報が正しいのか調査を行い、事実ではない根拠が提示できる状態にしておくことが大切です。
現地語での顧客対応の重要性
海外で風評被害を受けた場合、海外からの問い合わせや不安の声に対して現地語で対応できる体制を整えておくことも重要です。
もし問い合わせに答えられなかったり、対応が遅れたりした場合、事実を隠ぺいしているのではないかと疑念を生む可能性があります。
逆に現地語で迅速かつ丁寧に説明ができれば、現地での信頼を取り戻し、ブランド価値の維持にもつながるでしょう。
文化・習慣を考慮した情報発信
単純な翻訳だと現地の人には十分に理解されない可能性があります。
言語だけでなくその土地の文化や価値観によっても、不安に感じる部分やニーズなどが異なってくるため、現地の文化や習慣も考慮した情報発信を行うことが大切です。
また、情報発信のタイミングや表現などを間違えてしまうと、現地の人にとっては無神経だと捉えられることも考えられます。
情報を発信する地域に合わせて、表現の変更にも対応できるようにしておくと安心です。
実践できる多言語対応の方法
あらゆる業界でグローバル化が進んでいる中で、多言語対応は風評被害対策だけでなく日頃のビジネスシーンでも欠かせないものとなっています。
企業は主にどのような多言語対応ができるのか、解説していきましょう。
公式サイト・SNSでの多言語発信
一般的な多言語対応として、公式サイトやSNSでの情報発信が挙げられます。
公式サイトは基本的に母国語で制作されていますが、多言語対応にすると文章がすべて翻訳され、正確な情報を発信することが可能です。
多言語対応の公式サイトを制作する場合は、サイトのヘッダーなどわかりやすい部分に言語を簡単に切り替えられるボタンを設置しましょう。
また、1つのページに複数の言語で表記することもできますが、Googleなどの検索エンジンはURL単位で言語を認識することから、主要言語しか認識されなくなってしまいます。
そのため、サイト全体を翻訳する場合は、各言語でページを分けて制作した方が良いでしょう。
また、SNSに関しては、投稿のタイミングや言葉選びに注意することが大切です。
発信する前に必ず第三者からチェックを受け、外国人にとって違和感や不快感のない文章になっているか確認するようにしましょう。
FAQやプレスリリースの多言語化
風評被害が発生する前に、FAQやプレスリリースなどを多言語化しておくことも重要です。
FAQはユーザーが抱く疑問・不安などをその場で解決できるコンテンツです。
このFAQを多言語化することで、海外からの問い合わせ件数が減少することも期待できます。
また、通常のカスタマーサポートは平日の日中しか対応できない場合が多いですが、FAQを設置することで24時間365日いつでも疑問を解消することが可能です。
プレスリリースも企業が公式で発信する文章になるため、信頼性の高い情報として受け取られます。
プレスリリースを多言語化することで、海外のメディアでも取り扱ってもらいやすくなるでしょう。
現地専門家・翻訳者との連携
近年はAIの発達によって外国語を理解していなくても文章を自動で翻訳できるようになりました。
ただし、AIによる翻訳は未だ完全なものではなく、ニュアンスが違っていたり、現地で使われている表現としては違和感があったりするケースも少なくありません。
そのため、翻訳の品質を高めるために、現地の専門家または翻訳者と事前に連携しておくことも重要となります。
今回は、海外からの風評被害対策について解説してきました。
インターネットやSNSによってビジネスのグローバル化が進む一方、海外から風評被害を受けてしまうことも十分に考えられます。
海外からの風評被害対策を講じるためには、発信する情報の多言語対応が必要です。
特にグローバル展開をしている、またはこれから考えている人は、風評被害対策も兼ねて企業が発信する情報の多言語化を進めていきましょう。


















