「ジェンダー平等」が叫ばれている中、企業による炎上がなかなか無くならないのが現状です。
社会の意識が変わる中、男性や女性に対する表現に社会との乖離や不適切な表現があれば、炎上となり大きな影響を与える可能性があります。
炎上を放置してしまえば問題がより深刻化してしまうため、迅速な対応が不可欠です。
そこで今回は、ジェンダー炎上の基礎知識を解説するとともに、企業に対してどんな影響があるのか、炎上パターンや実例などを紹介していきます。
ジェンダー炎上が発生してしまった時の対処法についても解説していくので、ジェンダー炎上を避けたい企業担当者の方やジェンダー炎上に関する知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

ジェンダー炎上とは

まずは、ジェンダー炎上とはどういったものなのか解説していきます。

そもそもジェンダーとは

ジェンダーとは、生物学的な性別とは別に、社会や文化によって作られた「男らしさ」や「女らしさ」のことを言います。
「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」といった考え方です。
例えば、以下のような表現が当てはまります。

・男性は仕事、女性は家庭
・男の子は青、女の子はピンク
・「男らしく」「女らしく」いることの強要

日本では、女性だからといった理由で差別を受け、社会で活躍する機会が少ない点が問題となっています。
世界と比較すると日本は役職に就く女性が少ない印象です。
そこで、性別による差別や不平等をなくしてジェンダーの平等をなくそうという動きが日本を含めて世界で広がっています。

ジェンダー炎上について

ジェンダーに関する配慮が足りずに偏見や先入観を含んだ発言や発信をすることで起きる炎上をジェンダー炎上と言います。
国内外で多様な価値観への配慮、意識改革が行われている中、日本ではジェンダー格差がまだ根強く残っています。
そのため、企業による広告やSNSによるジェンダー炎上が後を絶たないのです。
なぜ、日本でジェンダー炎上が起こりやすくなったのか、その理由としては「女子差別撤廃条約」が挙げられます。
1979年に国連で採択された条約で、日本では1985年に批准しました。
日本では同年に男女雇用機会均等法が制定された他、1997年の改正では女性の差別的扱いの禁止が定められています。
そして2006年には、男女を理由として差別的扱いの禁止が定められています。
1990年代には、学校教育の場でも家庭科の男女共修が進んでいます。
その結果、ジェンダーに対する感覚が世の中で研ぎ澄まされたことで、古い価値観を持つ人たちと衝突しやすい環境が生まれてしまったのです。

ジェンダー炎上による企業への悪影響

ジェンダー炎上が巻き起こると、企業に対してどういった悪影響があるのか解説していきます。
収束するまでに時間がかかれば影響が長期化してしまうので注意が必要です。

ブランドイメージの低下

長年築き上げたブランドイメージがジェンダー炎上によって一瞬で失われる可能性があります。
広告やSNSに投稿した内容を見たユーザーが不快感を抱くことはもちろん、詳細を知らない人でも炎上を目にすることで悪い印象を持ってしまうためイメージは大きく低下してしまいます。
企業に対する信頼が失われてしまえば、様々な影響を受けてしまいます。
炎上が一度でも起これば謝罪をしたとしても失ったブランドイメージを取り返すには一定の期間を要するため注意が必要です。
誠実な対応を長期的にとり、信頼回復に努める必要があります。

顧客離れ

ジェンダー炎上は顧客離れを生む可能性があります。
前述したように、不信感を抱いた顧客は結果として商品の購入やサービスの利用をやめるケースがあります。
倫理的、道徳的な観点を持って商品を選ぶエシカル消費を意識して購入するものを決めている方もいるため、そういった方々を中心に顧客離れが進んでしまいます。
また、炎上内容によっては「不買運動」に発展する可能性もあります。
近年ではSNSを活用して拡散される動きもあるので、影響が大きければその後の事業継続にも悪影響を及ぼしてしまいます。

コストの上昇

ジェンダー炎上が広告によるものであれば、すぐに取り下げて廃棄する必要があります。
そのため、広告制作費や広告枠の購入、タレントの出演料など、様々な費用が無駄となってしまいます。
まや、再発防止策の実施、法的対応が必要な時の弁護士費用など、追加でコストがかかるケースも考えられます。
新しい広告の制作費用も必要になるため、多くの費用を捻出する必要があります。

株価・投資家からの評価ダウン

ジェンダー炎上による影響は消費者だけではありません。
株価や投資家からの評価が下がれば、株価が下落する可能性もあります。
株価が下がれば企業価値が低下するだけではなく、資金調達が難しくなるといった深刻な影響へと発展してしまいます。
投資家からの信頼を失ってしまえば株式の売却が続くケースもあるため、更なる株価下落を招く危険性があります。
最新の注意を払って広告の作成やSNSを発信する必要があります。

採用への悪影響

ジェンダー炎上によって企業のイメージが低下してしまうと、採用面でも悪影響が考えられます。
就職や転職を希望する人たちはネットを活用して企業調査をしていきます。
その際に、ネガティブなイメージのある企業だとわかれば、「働きたくない」「将来性に不安がある」といった印象を抱かれるため、候補から外れてしまうことが考えられます。
人材不足に陥っている企業は、より注意する必要があります。

ジェンダー炎上のパターン

ジェンダー炎上にはパターンがあります。
炎上を起こさないためにも理解しておきましょう。

固定観念

「男は仕事、女は家事や育児」「男は管理職、女はサポート」など、男女の役割における固定観念は、特に炎上しやすいです。
性別による役割は日本で根強く残っていますが、近年では解消しようとする動きが増加しています。
しかし、無意識で反映されているケースもあるため、広告での掲載やSNSでの発信時には、再確認が重要です。

性的な表現

体の一部を強調するといった人の目を引きつけるために性的な表現が内容に含まれている広告や配信も炎上につながりやすいです。
女性を性的に描いた表現が使われやすい傾向で、「性的にしか価値がない」というメッセージに受け取る事も出来るため、自尊心を傷つけてしまう可能性があるので注意してください。
女性の二次元キャラクターを採用する際には、特に注意しましょう。

多様性への配慮のなさ

近年では、多様性への意識も社会に広がっています。
多様性とは、様々な違いや特性を持っている人たちが互いを認め合って共に生きる社会や組織の状態を指しています。
性別や年齢、人種、価値観など、多岐にわたる要素が含まれます。
例えば、家族を登場させたい場合、男性と女性、子どもの3人を登場人物として起用した場合、「同性愛者への配慮がない」と批判を受ける可能性もあります。
そのため、両性愛者や同性愛者、ロランスジェンダーといった多様な価値観を持った人たちにとって不快となる表現が用いられていないかチェックする必要があります。

ルッキズムの助長

外見に基づいて人を評価したり差別したりする考えや行動をルッキズムと言います。
外見至上主義と訳され、容姿を理由に人を区別する他、不当な扱いをすることを指しています。
例えば以下のような扱いがルッキズムの考えだと言えます。

・容姿が良い人は性格も良いと決めつける
・容姿が整っていないことを理由にして不利な扱いをする
・容姿が全てと考えて過度なダイエットや整形を強要する

広告やSNSの投稿では、無意識にルッキズム的な表現が用いられている可能性があります。
あえて不安やネガティブな表現を用いることで興味を引きつけようとする手法もありますが、人を傷つける可能性があるため表現には十分に注意してください。

ミサンドリー(男性蔑視)

ミサンドリーとは、ギリシャ語で憎悪を意味する「mísos」と男を意味する「andrós」を指す言葉を用いた造語です。
男性や男らしさに対する嫌悪のことを言い、男らしさへの偏見として使われている言葉です。
ジェンダー炎上と聞くと、女性に関する差別的な発言や表現が多く取り上げられているイメージを持つ人もいます。
しかし、必ずしも女性のみの表現であるとは限りません。
例えば、DVという言葉を聞いて「男性に暴力を振るわれている女性」をイメージする人は多いはずです。
しかし、実際には男女共に被害者にも加害者にもなる可能性があります。
個々によって異なる問題を性別全体の特徴として捉えてしまうのは、男性蔑視につながるので注意が必要です。

過去の投稿

過去に炎上しなかった広告やSNSでの発信、キャンペーンなどが要因となって炎上するケースもあります。
ジェンダーの考え方は、ここ数十年ほどで価値観が大きく変わったため、昔は炎上しなかったものでも今の時代になって炎上する可能性があります。
現代の風潮に合っているのか再考する必要があります。

ジェンダー炎上は発生した場合の対処法

ここからは、ジェンダー炎上が発生した際の対象法について解説していきます。
炎上後の対応で更なる炎上を生む可能性もあるので、対応方法が重要なポイントです。
万が一、炎上してしまった際には以下の方法を参考に対応してみてください。

要因や状況の確認

まずは、炎上した要因や今の状況を確認していきます。
確認内容は以下の通りです。

・炎上の要因
どの発信が批判を受けているのか、どのような点が批判されているのかを確認していきます。

・発生場所
炎上の発端となった場所を把握します。
掲示板やSNS、ニュース報道などが該当します。

・情報共有
炎上の範囲、批判コメントの内容、擁護するコメントの有無などを確認し、関係者と情報共有します。

謝罪と説明

次に、謝罪と説明を行います。

・責任転嫁をしないこと
・問題を認めること
・炎上が発生した理由をわかりやすく伝える

上記がポイントです。
謝罪が遅くなれば信頼回復に時間を大幅な時間を要するため、迅速に伝えることが重要です。

削除

謝罪と説明が終わったら不適切な投稿の証拠を保存した上で問題となっている広告や投稿を速やかに削除してください。
SNSでの発言が要因だった場合、炎上した投稿を残しておけば、内容が加工されて出回ったとしても反論する際に活用できます。
また、削除したら「証拠隠滅」と言われる不安を抱く人もいますが、削除理由を示した上で削除をすればネガティブなイメージは生まれにくいです。
関連するコンテンツで不適切な部分がないかも確認し、必要であれば削除してください。

再発防止策の策定

再発防止策を策定することも重要です。
しかし、消費者やユーザーが納得できる内容で策定しなければ意味がありません。
例えば、以下のような防止策が考えられます。

・対応体制の見直し
・情報発信ルールの改定
・従業員への教育

風評被害対策の依頼

ジェンダー炎上では、風評被害対策の依頼も検討してください。
広告やSNSでの発言により炎上した場合、ネットで批判的な記事が掲載される他、SNSにも批判的な意見が書き込まれる可能性があります。
「炎上」といったネガティブな話題は、話題性が高いので興味を持った人がアクセスしやすいです。
そのため、検索エンジンに長く残り続ける特徴があります。
否定的な情報が上位表示され続けば、炎上が収まらないため、逆SEO対策によってネガティブな情報を目にしないよう対策をとる必要があります。
悪質なクレーム、ネガティブな内容のページ検索順位を下げることを逆SEOと言います。
ユーザーの目から記事を遠ざけることで、企業や商品の風評被害を防ぐことが目的です。
専門知識を要する分野なので、専門家に相談するのがおすすめです。

今回は、ジェンダー炎上について紹介してきました。
意図せず発信した内容が原因となり炎上してしまうケースは多いです。
ブランドイメージが低下し、顧客離れが進めば売上げにも大きな影響を与える可能性があるので注意してください。
企業にとっては大ダメージとなるので、ジェンダーについて深く理解し、炎上しないよう対策をとる必要もあります。
広告やSNSでの発信で問題にならないよう、紹介したジェンダー炎上のパターンを参考に、内容をチェックしていきましょう。
また、万が一炎上を招いてしまった場合には、早めに対処することが重要です。
沈静化を目指すためにも、今回の記事を役立ててみてください。