X(旧Twitter)やInstagramなどといったSNSの普及により、「なりすまし」のアカウントが急増しました。

著名人やインフルエンサーになりすました偽アカウントだけではなく、企業やその企業の経営者を名乗る偽アカウントも急増しています。

知名度を利用した企業SNSアカウントのなりすましは、消費者を騙すだけでなく、企業にとっても大きなダメージを与えるリスクがあります。

今回は、企業SNSアカウントのなりすましについて、その目的や被害事例、なりすましに対する対策と被害に遭った際の対応策を解説していきます。

SNSの発信に力を入れたい方やなりすましの被害を避けたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

SNSの企業なりすましアカウントとその目的とは?

個人だけではなく、企業のなりすましによる被害も多発しています。

ここでは、なぜわざわざ偽アカウントを用いてなりすましをするのか解説していきます。

 

なりすましとは?

なりすましとは、他人のアカウントを模倣して、自分のアカウントとして利用し、SNSに情報を投稿したり広告活動をしたりする行為を指します。

パスワードやIDを盗み取り、SNSアカウント自体を乗っ取るケースも含まれるでしょう。

偽った誰かのアカウントを用いて特定の個人とつながったり、個人情報やパスワードを抜き取ったりするため、なりすましによる被害が問題になっています。

なりすましのアカウントは本家アカウントと見間違うように作られているため、なかなか偽物だと気づくことができません。

そのため、に本物のアカウントとして間違えてフォローしてしまい被害につながるケースも多いです。

 

企業のSNSアカウントなりすましの裏には「4つの目的」がある!

企業のSNSアカウントのなりすましは、様々な不正な目的を叶えるための手段として利用されています。

なりすましが発生する背景にはどのような目的が存在するのか確認しておきましょう。

 

個人情報を窃取するため

個人情報には価値があるため、個人情報に狙いを定めてユーザーから情報を抜き取るためのページを用意するケースがあります。

抜き取った情報は、闇ルートで売買され、そこから利益を得ていると考えられるでしょう。

また、取得した個人情報で不正ログインをし、商品が売買されたり、不正転売されたりするなどの被害にもつながっています。

 

アカウントの売買に利用する

個人情報同様に、アカウントも売買を目的とするケースもあります。

なりすましのアカウントは、公式のアカウントに非常に似ているため、多くのフォロワーが獲得できるからです。

このアカウントの売買の被害者は消費者のため、企業側に被害がすぐに出ないこともあり、発見に時間がかかります。

後々、被害が拡大し、企業側の管理責任が問われる場合があるので、自社の偽アカウントが存在しないか警戒する必要があるでしょう。

 

金銭目的としての詐欺活動

金銭目的としてなりすましのアカウントを作成し、詐欺活動を行うケースもあります。

主な詐欺被害としては、フィッシング詐欺や粗悪品・偽物の商品販売を狙ったものが挙げられるでしょう。

特定の企業のファンやユーザーを誘導し、誘導先の偽のページで個人情報を入力させて偽物の商品の購入を促します。

名前や連絡先、住所だけでなく、家族構成、クレジットカードの情報などの情報も抜き取られるので注意が必要です。

 

ブランドイメージや価値を落とす

企業のブランドイメージに傷をつける目的でなりすましアカウントが作られる場合もあります。

有名なアパレルブランドを標的に、企業SNSのなりすましアカウントを用いて被害を与えるケースなどです。

人種差別的な発言を繰り返し行うなどして「差別的な価値観を持ったブランド」だとユーザーに誤認させます。

ブランドのイメージや価値を下げるだけでなく、販売にも大きな影響が出るリスクがあります。

 

なりすましによる主な被害事例について

企業のSNSアカウントのなりすましによる被害は増加しており、手口も日々巧妙化しています。

企業のなりすましアカウントによる被害事例についてもご紹介しましょう。

 

ユーザーが見分けにくい偽アカウントで詐欺サイトへ誘導する

なりすましの金銭目的による詐欺被害では、SNSアカウントへの登録を促して、偽物の商品や粗悪品などを販売するケースが挙げられます。

偽物の商品を販売するだけでなく、偽の販売ページから個人情報も抜き取られてしまうので注意が必要です。

「先行予約受付中」「先着限定○○名様!」などとユーザーの期待感を高め、前払いさせるため金銭的な被害へとつながっています。

 

キャンペーンや抽選などに便乗して個人情報を窃取する

偽のアカウントを利用してキャンペーンや抽選などを行い「モニターに選ばれました」「この表示が出たあなただけに特別ご招待!」「抽選に見事当選しました!」などと案内し、個人情報の入力を促します。

そこで取得した個人情報を悪用し、不正にログインしたり、個人情報を販売したりする被害につながっています。

国内の大手航空会社の偽アカウントを利用したなりすましによる被害では、ユーザーからパスポート番号、クレジットカード情報などを盗み出す被害が発生し、問題になりました。

 

こうした企業SNSのなりすましに遭った被害者は、その状況をSNSで発信する傾向が高いです。

被害者が多かったり、炎上につながったりした場合、一瞬にして風評被害が拡散してしまう恐れがあります。

偽アカウントを放置していたりすると思わぬ大きな被害につながるリスクがあるので注意する必要があるでしょう。

 

企業SNSアカウントなりすましの対策方法5選

なりすましをする目的を把握し、企業がなりすましに対して適切な対応を取ることで被害の拡大や予防につながります。

ここでは、なりすましの対策方法を5つご紹介します。

 

アカウントの認証マークを取得し強化する

企業としてSNSを利用し広告活動をするのであれば、まず認証マークを取得しておきましょう。

X(旧Twitter)やInstagramでは、企業アカウントの認証システムを提供しています。

認証マークは、自社のアカウントが本物であることの証明にもなり、信頼性を見極めるための手段として有効です。

なりすましアカウントは認証マークがついていないことが多いので、ユーザーはある程度信頼できるアカウントなのか区別できるでしょう。

 

企業の公式サイトと公式SNSアカウントをリンクさせる

企業の公式サイトに公式SNSアカウントを紹介し、WebサイトとSNSをリンクさせておくのも効果があるでしょう。

公式サイトからのリンクであることから、SNSのアカウントに公式マークがなかったとしてもユーザーが公式アカウントであると見分けやすくなります。

そのため、公式サイトでは、SNSのアカウント情報をわかりやすく目に入りやすい位置にしておく必要があるでしょう。

サイトトップへ表示したり、複数のアカウントをまとめたりして、ユーザーが迷わないようにしておくことをおすすめします。

 

トップページなどで注意喚起&情報共有

「なりすましアカウントが急増しており、問い合わせも増えています」「弊社は個人情報をSNS上で直接尋ねることはありません」など記載しておくことで、ユーザーはなりすましアカウントに警戒することができます。

また、なりすましアカウントを発見した際は、その特徴や見分け方などを定期的に掲載することで被害を防ぐ効果も期待できるでしょう。

 

取引先など関連企業との連携を強化する

取引先や協力企業との連携もなりすまし対策に有効です。

なりすまし被害は、自社だけでなく、関連企業や取引先にも悪影響につながる可能性が高いと言えます。

日頃から関連企業と情報共有を行い、互いに監視を強化することで、なりすまし被害を防ぐことにもつながります。

 

社員のセキュリティリテラシーの向上

組織や企業単位でなりすまし対策に取り組むには、従業員の意識も重要です。

企業内部でSNS利用ガイドラインを作成しておくと良いでしょう。

公開しても問題ない情報なのか、なりすましがあった際どのような対応をするのかなど明確にしておきます。

不審なメールやリンクを開かない、パスワードの使いまわしは禁止する、 個人情報は厳重に取り扱う、SNSで不用意な発言をしないなど、社員一人ひとりが適切な利用方法を知ることが求められます。

 

なりすまし被害に遭った場合の対応策とは?

なりすまし被害に遭った場合は、迅速な対応が求められます。

対策を後手に回してしまうと被害が拡大し、企業に大きな損害を与えるリスクになるからです。

なりすまし被害に遭った場合の主な対応策は以下のとおりです。

 

SNSプラットフォームの運営へ通報する

なりすましアカウントを発見したら、早急にプラットフォームの運営に通報しましょう。

被害の拡大を防ぐため、なりすましの凍結や削除依頼をします。

多くのSNSでなりすましなどの不正行為に対して報告機能を設置しています。

報告後、プラットフォーム側が調査をし、確認でき次第偽アカウントを削除してくれます。

 

ユーザーへの注意喚起

偽アカウントを発見したら早急にフォロワーに伝えることも重要です。

公式サイト、公式SNSアカウントなどになりすましアカウントの特徴や被害状況など明確に伝えましょう。

SNSでは、通常の投稿だけでなく多くの目に留まるようにします。

Instagramの場合、ストーリーズを投稿してハイライトに固定する形で注意喚起することができます。

プロフィールにも情報を載せておくと良いでしょう。

X(旧Twitter)であれば定期的にリポストしたり、固定ツィートしたりすると周知されやすくなります。

なりすましアカウントに直接言及して、そのアカウント名を晒すことも注意喚起につながるでしょう。

 

ユーザーへのサポート体制を整える

なりすましによる被害によって、ユーザーが対応に困り、混乱するケースも多いです。

そのため、企業側からユーザーへの適切なサポート体制が必要になるでしょう。

不適切な対応は、企業のイメージダウンにつながります。

専用の問い合わせ窓口を設置したり、被害状況・情報を提供したりして、被害の拡大を防ぎましょう。

 

定期的になりすまし対策への見直しを行う

なりすまし被害が発生した場合には、その原因を調べ、同じような被害が出ないよう対策をする必要があるでしょう。

そのためには、定期的にリスク評価をして、対応方法や防止策を見直すことが重要です。

なりすまし被害の発生経緯、被害の内容、適切な対応ができていたかなどなりすまし被害をもとにして対策を見直しておきましょう。

 

まとめ

今回は企業のSNSアカウントなりすましについて、その目的や被害事例、対応策について解説しました。

今や多くの企業にとって、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSツールは、自社のイメージ戦略や商品アピールに欠かせないものになっています。

しかし、その反面、企業のなりすましアカウントによる被害も多発しているので注意が必要です。

自社の大切なユーザーがなりすまし被害に遭わないためにも、当記事を参考に日頃からなりすまし被害の対策を行っていくことをおすすめします。